第九段:女は髪のめでたからんこそ

今回も色欲についてです。

よほど兼好法師にとって、色欲は大敵だったと思われます。

原文

女は髪のめでたからんこそ、人の目立つべかめれ、人のほど心ばへなどは、もの言ひたるけはひにこそ、ものごしにも知らるれ。

ことにふれて、うちあるさまにも人の心を惑はし、すべて女の、うちとけたる寝もねず、身を惜しとも思ひたらず、堪ゆべくもあらぬわざにもよく堪へしのぶは、ただ色を思ふがゆゑなり。

まことに、愛着の道、その根深く、源遠し。六塵の楽欲多しといへども、皆厭離しつべし。その中にただかの惑ひのひとつやめがたきのみぞ、老いたるも若きも、智あるも愚かなるも、かはる所なしと見ゆる。

されば、女の髪すぢをよれる綱には、大象もよくつながれ、女のはける足駄にて作れる笛には、秋の鹿必ず寄るとぞ言ひ伝へ侍る。自ら戒めて、恐るべく慎むべきは、この惑ひなり。

現代語訳(適当です)

女性は髪が立派なのが、人にも目立つようだが、人格や気立てなどは、話し方にこそ、物を隔てていても分かるものだ。

何かにおいて、些細なことでも男の心を惑わし、ぐっすりと寝ることもなく、身を惜しいとも思うこともなく、耐えがたいことによく耐えしのんでいるのは、ただ色欲のことを思っているからである。

本当に、愛着の道の根は深く、根源も深い。煩悩による欲は多いが、すべて避けて通ることができる。ただその中で、愛着による惑いだけは避けられないのが、老いも若きも、賢い人も愚かな人も、変わるところがないと思える。

であれば、女性の髪をよって作った綱に大きな象をつなぐこともでき、女性が履いた下駄で作った笛で、秋の鹿が必ず寄ってくると伝えられている。自ら戒めて、恐れて慎まないといけないのは、この愛着の悩みである。

感想

二段続けて、色欲についてです。

兼好法師は出家して、女性に対する煩悩に、相当悩まされていたのかもしれませんね。

私自身は、快楽主義者とまではいかないと思いますが、基本的に人間の自然な感情に従うのが良いと思っているので、兼好法師の悩みは分かりません^^

私の事務所は、広島大学のすぐ近くということで、プログラミングの部分を手伝ってもらうのに、何人か、大学生のアルバイトに来てもらっています。

そのうちの一人が「自分はモテない、今まで彼女がいたことが無い」という相談?をしてきました。

アラフィフの私としては、そういう悩みがあること自体が羨ましいことで、もう大いに悩んでください、そこで悩めるのは若者の特権なのよ、その質問ができるだけのコミュニケーション能力があれば大丈夫よ、という感じですが、せっかく相談をしてきたので、多少は実用的な答えをしないといけないとも思ったところもあります。

最近の学生について思うことは、皆、マジメだなぁ、ということです。

こんなことを書いても刑事責任は問われないと思いますが、僕の世代の学生は大学生になったら普通に未成年でもお酒を飲んでいましたが、最近の学生は「未成年なので、お酒を飲んだことはありません」と、ちゃんとルールを守る子が多いです。

もちろん法律に抵触するので、こちらからお酒を勧めることはしませんが、やっぱり世の中の倫理規範が変わってきたということを感じます。

そういう世の中に変わってきたということで、それはそれで良いのですが、僕の世代は大学一年生の時から合コンとかをしていたので、まずは出会いが無いよね、と思います。

昔から出会いが無いというのは、彼氏彼女がいない理由の一番だったと思いますが、それが更に加速している印象です。

何事もバッターボックスに立たないことには結果は生まれないので、まずは出会いを増やすのが大事かな、と学生さんにはお伝えしました。

あとは、彼女を作るだけじゃなくて、今後生きていくためにも、愛嬌が大事なので、表情を豊かに、よく笑うことをお勧めしたというところです。

最近はマッチングアプリも進化してきているので、そのうち出会いもアプリのおススメに従って選ぶ、という時代が来るかもしれませんね。

先日、高齢者向けのマッチングアプリの広告が出てきて、こういうのも出てきたんだな、と感心してしまいました。

本当、「老いたるも若きも、智あるも愚かなるも、かはる所なしと見ゆる」の、その通りです。

出会い方は技術の発達によって変わっても、来たるべき超高齢化社会の影響を最小限におさめるためにも、色欲を減らしてはいけないと思うことが多い、今日この頃です。

兼好法師の意見とは全く逆になってしまいました^^

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