こんにちは、デスクワークラボの吉井良平です。
採用試験問題が流出?!コレが実際に使われている「Excelスキルのテスト」だ (キャリタスPRESSさん)という記事を読んで、自分でも作ってみたくなって、入社試験問題を作ってみました。
応募要項に「エクセルが使えること」と書いてあって、面接で「ハイ、使えます」と言っていても、実際に採用してみたら実は全く使えなかったという笑えない話もあります。
なので「エクセルを使ったお仕事」であれば、入社時に試験をしておくのは、一つの手ですよね。
採用担当者の方で、問題を作るのが大変な方は、私が作った入社問題をアレンジして使っていただければと思います。
また、仕事を応募される方も、このテストで満点取れば「エクセルが使える!」と胸を張って言って良いと思いますので、トライしてみてくださいね。
初級編
一口に「エクセルを使ったお仕事」と言っても、ほぼ出来上がったフォーマットに入力するだけのお仕事と、自分でデータを加工して分析したりするお仕事の2種類があります。
まずは「未経験者可」となっている、入力がメインのお仕事用の試験問題です。
試験問題
解説をみる前に試験をやりたい方のために、先に問題を掲載しますね。
問題のコンセプト
「未経験者可」ということで、エクセルの機能をどれだけ知っているかよりも、考える力や表を読み込む注意力を問う問題になっています。
未経験でも、自分の頭で考える力がある人、何かを見ていろいろ気づくことができる人の方が、後々伸びるためです。
「何も考えずに、ただ入力だけしてくれれば良い」と考えて採用する方には、この問題は向いていません。
また、問題を解きながらエクセルの学習ができるような作りにもしています。
問題の紹介と解説
では、各問の紹介と解説を行なっていきます。
第1問: セル番地の理解を問う問題
エクセルは、セル単位でデータを扱うので、セル番地という考え方を理解しているかがとても重要です。
「セル」という言葉を知らなくても、問題文にD6と書いてあること、ヒントに行番号と列番号の説明がしてあるので、考えれば答えが出るはずです。
未経験でも、考える力があるかどうかが分かる問題にしています。
第2問:入力ができるかを問う問題
文字・数字・日付・時刻など、基本的な入力ができるかどうかを問う問題です。
ひっかけ問題として、「わ43」と、全角数字を使った文字も入れています。全角と半角の違いに気づく注意力を試しています。
いくら「未経験可」でも、基本的な入力から教えるのはしんどいので、基本的な入力ができるかどうかを確認するための問題です。
第3問: 一般常識を問う問題
今日が何日か、何曜日かを入力してもらう問題です。
面接に気合いを入れて来ている人であれば、何月何日かは覚えているはずです。
また、注意力があれば、パソコンの画面のどこかに日付が表示されているのに気づくと思います。
この問題に、TODAY関数や 「Ctrlキー+;」のショートカット、セルの表示形式を曜日にしたりして解答する人がいれば、その人にはもっと重要な職務についてもらいましょう^^
第4問:かんたんな書式設定ができるかを問う問題
セルの文字に色をつける、文字の配置を変える、文字のサイズを変える、フォントを変える、金額表示にする、%表示にして桁合わせをする、という、ホームタブのリボンからできる簡単な書式設定ができるかどうかを問う問題です。
これもヒントを出しているので、やり方を知らなくても応用力があればできるようにしています。
試験をしながらエクセルの勉強もできる、我ながら良くできた問題だと思います。(エッヘン)
第5問: 一般常識を問う問題
これはエクセルの問題ではなく、一般常識を問う問題です。
私は受注センターを運営していた経験があるので、延べ100人ぐらいの派遣社員さんを採用したことがありますが、パソコンの使い方云々よりも、一番困るのは一般常識が通じない人です。
東京から、名古屋と福岡のどっちが遠いか・・・なんてことを忙しい時に説明するのは、精神衛生上よろしくないのです。
大都市の地名が分からないのは、致命的・・・(ダジャレです)
まぁでも当人には悪気はないというか、採用してる方も悪いので深く反省した次第ですが、ともあれそういうチェックもしておいた方が良いということで、問題に入れています。
受注センターとかだと発送先入力があるので、地名を一般常識にしましたが、業界ごとに「これを知っておかないと」という常識があれば、問題に入れてみてくださいね。
第6問:かんたんな計算をする問題
問題としては、小学校低学年の算数レベルの問題ですが、これを暗算じゃなくて数式を入力して解答してもらいます。
数式の入力方法が分からなくても、ヒントに入力方法が書いてあるので、これも応用力がある人であれば解けるはずです。
セルに入力した値が、数式バーに表示されるという、エクセルの勉強にもなっています。
我ながら何と良い問題・・・(←しつこい)
第7問:セルを参照して計算をする問題
1980年の人口から1960年の人口を引き算、また1980年の人口を1960年の人口で割り算をする問題です。
となりのセルに式が入力してあるので、コピペを知っている人はすぐコピペで入力できます。
やり方が分からない方でも、第6問までが出来ている方であれば、何とかできるでしょう。
第8問:タイピングスピードを計る問題
入力がメインの仕事であれば、タイピングスピードはとても重要です。
このゲームは一例ですが、職場でタイピングスピードの平均をとって基準を作ってから、ポイントによる点数を作ってみてください。
問題としては以上です。
制限時間は、経験者であれば10分で充分だと思いますが、未経験者の方は20分ぐらいかけても大丈夫だと思います。
中級から上級編
次は、エクセルのデータを加工して、分析をしたり、資料を作ったりするお仕事用の試験です。
こちらも同様に、まず試験問題を掲載します。解説を見ずにやってみたい方は、やってみてくださいね。
問題のコンセプト
エクセルを日常的に使っていく際に、役に立つ機能を網羅した形で作っています。
また、仕事の場面で使いそうな例題を作り、お仕事のイメージもできるような形にしています。
業界が違えば、エクセルでよく使う機能は違うので、実態にそぐわない場合は、ご自身の業界に当てはめて設問を変えていってくださいね。
今回作った問題は、B to C の業界を前提として作りました。
問題の紹介と解説
それでは、各問題を紹介していきます。全20問です。
第1問:合計と平均を求める問題
第1問は、合計と平均を求める問題です。
基本中の基本、SUM関数を使えるかどうかを確認します。
平均を求めるAVERAGE関数は、そんなには使わないと思いますが、これも基本なので問題の中に含めました。
第2問:ウインドウ枠の固定に関する問題
別途、年間の最高気温と最低気温が入力されたシートを用意しています。
365日分のデータがあり、こういった大きな表を操作する場合には、ウインドウ枠を固定すると作業効率が上がります。
作業効率の向上ができる機能を知っているかどうかを、テストする問題です。
第3問:データの並べ替え
365日分のデータを、最高気温が高い日順に並び替えができるかどうかを問題にしています。
実際の業務でも、売上が多い順、時系列順、あいうえお順など、データの並べ替えをすることが多く、エクセルを使う上での必須機能です。
第4問:フィルターが使えるかを問う問題
別途、都道府県別の人口と面積が入力されたシートを用意しています。
フィルターを設定して、なおかつ「○○以上」という抽出方法でデータを抽出できるかどうかを問う問題です。
実際の業務でも、「売上髙〇〇円以上」とか、「○月○日から△月△日まで」といった、細かい条件でのデータ抽出することもあります。
フィルターだけが設定されていれば、半分の3点をあげても良いと思います。
これも、エクセルを使う上での必須機能です。
第5問:棒グラフを作る問題
別途、都道府県の人口上位を抽出したシートを作っています。
グラフの基本、棒グラフが作れるかを、問題にしました。
第6問:折れ線グラフを作る問題
これもグラフの基本、折れ線グラフが作れるかどうかを問題にしています。
年間の気温データから、単純な折れ線グラフを作ってもらいます。
第7問:ピボットテーブルが作れるかどうか
都道府県のデータから、ピボットテーブルを使って集計してもらう問題です。
ピボットテーブルもエクセルの最重要機能の一つで、商品別、期間別、取引先別等に売上集計する際には必須のテクニックです。
この問題は、ピボットテーブルという機能を知っていて、使うことができるか、をテストしていますので、ピボットテーブルをバリバリと使う職場では物足りないかもしれません。
その場合は、もっと複雑な集計をする問題にしてみてくださいね。
第8問:円グラフを作る問題
これもグラフの基本、円グラフを作る問題です。
単純にピボットテーブルから円グラフが作れれば正解です。
実際の業務でも、構成比を視覚的に表すために円グラフは有効なので、問題に取り上げました。
第9問:複雑なグラフを作る問題
もしかしたら、この問題が一番難しいかもしれません。
グラフの使い方に対する理解度を測るために、グラフの種類を指定して、グラフ要素(系列名・区分線)を追加する問題にしています。
あまりグラフを使われないお仕事の場合は、この問題は他の問題に変更してくださいね。
第10問:TODAY関数
いろんなフォーマットを作っていくお仕事の場合は、TODAY関数から今日の日付を求める方法が必須なので、問題にしています。
簡単な問題なので、配点を3点にしています。
第11問:日付操作の理解を試す問題
TODAY関数で求めた日付に対して、+1、-1をして結果を求めてもらう問題です。
日付に足し算、引き算ができるということを知っておくと、スケジュール管理や支払い・入金の管理などに役立つので、問題としてみました。
第12問:EOMONTH関数
これも問題11と同様に、スケジュール管理や入金管理などの業務で、毎月30日だったり31日だったり28日だったりする月末日を求めるEOMONTH関数を知っておくと便利なので、応用問題として問題にしました。
業務であまり締日を気にしない場合は、違う関数の問題にしてくださいね。
なお、エクセルの日付に関する機能は、こちらの記事で詳しく紹介しています。
Excelの日付にまつわるエトセトラ~これだけ覚えれば完璧!
第13問:ROUND関数の応用
消費税の計算などでおなじみのROUND関数を使った問題です。
単純にROUND関数だけだと簡単すぎるので、0.7をかけて切り上げ(ROUNDUP)する問題にしてみました。
関数を知っているだけじゃなく、業務への応用力も試した問題です。
なお、ROUNDUP関数じゃなくてCEILING関数を使っていても正解です。
ROUND関数に関しては、こちらの記事で詳しく紹介しています。
第14問:IF関数に関する問題
IF関数を使って、男であれば 4,000、女であれば 3,000 とする問題です。
「もし○○ならば」ということで入力値を分ける場合はとても多く、手入力をしなくて良いように、IF関数も必須の関数です。
第15問:絶対参照と相対参照の理解を問う問題
エクセルで関数を使っていくためには、絶対参照と相対参照に関する理解が欠かせません。
九九の表を作るためには、片方を列のみ絶対参照、もう片方を行のみ絶対参照にする必要があり、絶対参照と相対参照に関する正確な理解が求められます。
第16問:条件付き書式の応用的理解を問う問題
条件付き書式を使って、土曜日と日曜日に自動的に色をつける問題です。
かなり難問の部類に入りますが、業務削減効果が大きいことから問題にしてみました。
もう少し易しい問題でも良いかもしれませんが、条件付き書式はいろいろ応用が効く機能なので、1つは問題に取り上げておいた方が良いと思います。
第17問:入力規則(プルダウンリスト)を使う問題
入力規則を使って、性別欄に男、女しか入力できないようにする問題です。(左側に、正解例が入力されています)
入力ミスを防ぐ、入力スピードを上げる、ために、入力規則も積極的に使った方が良い機能です。
第18問:COUNTIF関数
業務でアンケートの集計を行う場合には、COUNTIF関数で件数を調べると便利です。
これも少し難しいかもしれませんが、問題としてみました。
なお、数の数え方に関しては、こちらの記事が参考になります。
第19問:SUMIF関数
条件によって集計するSUMIF関数も、知っておくと良い関数です。
定型化された集計作業であれば、ピボットテーブルよりもSUMIF関数を使った方が作業効率が上がります。
第20問:VLOOKUP関数とIFERROR関数
別途、見積書のシートと、商品マスターシートを用意しています。
商品マスターシートから、VLOOKUP関数で品名を読み込む問題です。
VLOOKUP関数も、見積書・請求書・発注書の作成に大きな効果のある関数なので、問題に入れました。
また、VLOOKUP関数をそのまま入れただけだと、品番未入力の行にエラーが出るので、エラー値の場合は表示させない IFERROR関数も組み合わせることも求めています。(ISERROR関数でも可)
この問題は、関数のネスト(組み合わせ)が必要ということもあり、5点 x 2 = 10点の高得点問題です。
なお、VLOOKUP関数が良く分からない方は、下記の記事をご覧くださいね。
エクセルの最重要関数 VLOOKUP関数をマスター!考え方が分かれば難しくない
問題は以上です。
制限時間は、1問1分と考えると20分ですが、中には難しい問題もあるので、30分としておいた方が良いでしょう。
まとめ
中級~上級編に関しては、業種によって必要なエクセルの機能が変わるので、ご自分の業務にそぐわない場合は、問題を差し替えてくださいね。
問題を作りながら思いましたが、採用試験だけじゃなくて、社員の方にも抜き打ちでテストをしてみても良いかもしれません。嫌われるかもしれませんが、これらの機能を使いこなせば、きっとエクセル作業時間の3割は削減できるはずです。
(2021/02/09追記:中級から上級編の解答について沢山お問い合わせをいただいた為、
youtubeの公式サイトにて解答をアップいたしました。
下記に動画を貼り付けておきますので、参考にしてください。)
またご自分で問題をやってみて、中級編が半分以下の出来だった場合は、もう一度エクセルを一から学びなおしてみることをおススメします。
以上、今回は入社試験問題を作ってみました!