こんにちは、デスクワークラボの吉井良平です。
エクセルって何にでも使える自由度が高い分、入力ミスが起こりやすい、ある意味「いい加減」なソフトともいえます。
でも、ちょっとした設定をすると、入力ミスが格段に減りますし、入力スピードもアップさせることができます。
エクセルの入力スピードを上げるために「ショートカットを使いこなそう」とか「出来るだけマウスを使わず、キーボードだけで処理しよう」ということも良く言われますが、入力ミスを減らしたり、そもそもの入力項目を減らすことが、実はそれ以上に重要です。
エクセルで入力することが多い人にとっては、入力のストレスを減らす効果もありますので、フォーマットを作成する際には、今回紹介する「データの入力規則」という機能を使ってみてくださいね。
「データの入力規則」で何ができるの?
「データの入力規則」とは、入力できるデータを、一定のルールで制限する機能です。
「入力ミスを減らしつつ、入力スピードを上げる」というのも抽象的な表現なので、具体的にはこんなことができます。
リストから選ぶことができる
「この列には、こういった値しか入らない」ということがありますよね。
例えば、上の図のように費用を勘定科目で仕分けする場合は、科目の欄に勘定科目以外のデータが入力されていては困ります。
あらかじめリスト化しておけば、それ以外のデータが入ることはありませんし、「どんな科目があったんだっけ?」と調べることもなくなります。
会社のシステムで、支店コード、社員番号、エリアなど、データを記号で割り振っていることもよくあります。
はっきり言って、この記号を覚えることに、あまり意味はありません^^
あらかじめリスト化しておけば、覚えたり、わざわざ調べる必要がなくなります。
間違ったデータは入力できない
あらかじめ入力できる値を決めておくことで、間違ったデータを入力できなくすることができます。
後からデータを集計する際に、間違った値が入っていると、その修正にひと手間かかってしまいますよね。
特に一文字違いなど、ちょっとした間違いは間違いを探すのも大変だったりするので、入力するデータが決まりきっている場合は、あらかじめ設定しておいた方が、後々の作業が楽になります。
全角半角の切り替えが不要
英数字しか入力しない欄と、漢字かなで入力する欄とが混在している表もありますよね。
例えば名簿を作る場合、メールアドレスと電話番号には英数字しか使いません。
こんな場合に、その都度、全角と半角を切り替えるのって結構面倒です。面倒だと思っていなくても、実際にはそれなりに時間がかかっています。
入力規則で「日本語入力オフ」にしておくと、自動的に英数字しか入力できなくなるので、入力スピードが早くなります。入力のストレスも減ります^^
また、全角と半角が入り乱れた表にならなくて済みます。
こういうのって後から直せるんですけど、手直しにも10分ぐらいかかるので、最初から統一されていた方が良いですよね。
入力規則の設定方法
では、実際に入力規則を設定する方法を紹介していきますね。
まずは、入力規則を設定するダイアログボックス(設定画面)を出します。
入力規則を設定するセルを選択した状態で、リボンの「データ」タブの「データの入力規則」をクリックします。
そうすると、このようなダイアログボックスが出てきます。
まずはリスト機能を覚えよう
この中で、一番よく使うのはリスト機能です。
入力するセルに、プルダウンリストが出てくるようにする機能のことです。
リスト機能は、「設定」タブの「入力値の種類」から「リスト」を選びます。
リストに表示する項目が少ない場合
「男・女」「あり・なし」「S・M・L」など、リストに表示する項目が少ない場合は、「元の値」欄に直接入力した方が早いです。
「男,女」とか、「S,M,L」など、項目の間にコンマを入力してください。
これで、プルダウンリストが出てくるようになりました。
リストに表示する項目が多い場合
項目が多い場合は、コンマで入力するのも大変です。
別に作ってあるリストから、そのまま値を引っ張ってきましょう。
「元の値」欄をクリックした後で、別に作ってあるリストの部分をドラッグして選択します。
元になるリストは、同じシートじゃなくても、別のシートにあっても大丈夫です。
これでプルダウンリストが出てくるようになりました^^
日本語入力をオフにする
もう一つのおススメ機能「日本語入力をオフにする」の設定は、とても簡単です。
先ほどと同じように、入力規則を設定したいセルを選択した状態で、ダイアログボックスを出します。(データタブ→データの入力規則)
「日本語入力」のタブを選んで、日本語入力をオフにしてください。
これで、全角と半角を気にすることがなくなります!
細かい設定のようですが、特にテンキーの無いノートパソコンで作業をする際には、ほぼ必須といって良い機能です。
数字の入力に、ストレスが無くなりますよ。
その他の入力規則設定
その他にも、細かい入力規則の設定ができます。
私はそこまで使いませんが、場合によっては設定することもあります。状況に応じて使ってみてください。
とりあえず機能の紹介をしますね。
整数:
整数を設定します。
最小値と最大値を指定して、特定の数の範囲しか指定できないようにすることも可能です。
小数点数:
小数点のある数を設定します。0以上1以下、などの設定もできます。
日付:
日付を設定します。2016年1月1日~2016年12月31日まで、などの設定もできます。
「今日より前の日が入力されるはずがない」場合は、TODAY関数を入れておけば、間違えて過去の日付を入力してしまうようなことはなくなります。
時刻:
時刻(時間)を設定します。
1日の勤務時間を10時間までにしている、という場合は、10時間を超えたらエラーを出すような設定もできます。
文字列:
文字列(文字)の設定をします。
例えば、商品コードが8桁と決まっている場合は、文字列の長さを8に設定しておくと、入力ミスの防止になります。
いくら入力スピードが早くても、データが間違っていたら、あとで10分20分ぐらいの時間はすぐにロスします。
フォーマットを作る際には、必要に応じて入力規則を設定しておいて、ミスの少ない作りにしておきましょう。
入力規則を使う時に知っておいた方が良いこと
エラー値でも入力できるようにする
例外が出た場合など、元々のリストにない値でも、入力を許可することもできます。
入力規則を設定するダイアログボックスで「エラーメッセージ」タブを選んでください。
スタイルの欄で、
停止: これが通常の設定です。入力規則から外れたデータは入力できません。
注意: 入力規則から外れたデータに対して、「本当にこの値で良いですか?」という注意が出てきます。「はい」と選ぶと、入力規則から外れたデータでも入力できます。
情報: 「このセルには、入力規則が設定されています」というメッセージが出てくるだけです。
停止 > 注意 > 情報 で、入力制限の厳しさを選ぶことができる、ということですね。
エラーメッセージも変更できる
エクセルが表示するエラーメッセージって味気ないなぁ、と思う方は、エラーメッセージを変更することもできます。
また、いろんな人が同じファイルを使う場合は、どこにリストがあるかを教えてあげた方が親切ですよね。一回一回、問い合わせをしなくても良いので、効率も上がります。
入力規則が設定されているセルに色をつけておく
大きな表になってくると、どこの列が入力が必要な列で、どこの列には入力規則が設定してあって、という設定が、表を見てひと目で分かるようにしておくと、分かりやすい表になります。
また、入力規則を設定している範囲を分かりやすくしておくと、残り行が少なくなった時に行を挿入する必要があるかどうかが分かります。
薄い色で、入力規則を設定しているセルに色をつけておくという工夫が役立つこともあるので、紹介します。
入力規則を設定しているセルに色をつけた
まとめ
入力ミスを防止しつつ、入力スピードを上げるためには「データの入力規則」という機能を使います。
細かい設定のようですが、チリも積もれば山となる効果で、将来的には大きな差になってきます。
特に管理部門の方で、全社的なフォーマットを作って配信する場合には、こういう細かい設定が会社全体のムダを減らします。
ちょっとした手間なので、ぜひ設定してくださいね。