中小企業の社会人一年生に向けたIT教習所

私は、中小企業向けにITコンサルティングや社員教育をしています。

今は、DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉が流行っていますが、それよりも基本的な知識をまず身に着けた方が良い、と思うことが多々あります。

「世の中にパソコン教室、プログラミング教室はあるけど、一般のホワイトカラー向けの教室というのはあまり無いな」と思い、「無いなら自分で作ってみよう」というのが、この連載です。

目次

  1.  この連載をはじめたきっかけ(目次の後に、つらつらと書いています。興味のある人以外は必要ありません)
  2.  ITを活用する際の心構え
  3.  ITの全体像(次に書く予定の記事)

過去に驚いた事例

1をひたすら入力している人

製造業で、毎日の日報をエクセルで作っている会社があり、最後にチェック欄がありました。

こんな感じです

聞くと、毎日、1を行数分入力しているとのことです。

「こういうのは、最初の1だけを入力して、ドラッグすれば全部に1が入りますよ」と教えてあげると、とても喜んでいました。

「喜んでもらえて良かった」と思う反面、「誰も教えてくれなかったのか」と思うと、少し哀しい思いもしました。

○(図形)を毎日消している人

人材派遣の会社で、「派遣先に毎日提出する書類があって、その作成が面倒」という話がありました。

こんな感じです

○がオートシェイプ(図形)で作られていて、これを毎日、一つずつ図形を選択していったん全部消して、また○を一から作っているとのこと。

「オブジェクトの選択」という機能で、まとめて選択して消去できることを教えてあげると、これもまた喜んでいましたが、「今までそのやり方でずっとやってきたのか」「そもそもエクセルでやる業務なのか」とか思うと、モヤモヤするところがあります。

100万円で請求書作成システムを購入した事例

商工会議所経由で訪問した小規模の製造業(自動車部品の三次請け)では、請求書の発行をするために、ハード(パソコン・プリンタ)と一体型のシステムを、約100万円で購入されていた例がありました。

単に入力して印刷するだけにしか使っていなく、それであればエクセルで充分・・・と、愕然としたこともあります。

年配の経営者で、業者さんの薦めるままに購入したとのことで、世の中の縮図を見た思いがしました。

5年前ぐらいの話なので、最近はこんなにひどいことは無いとは思いますが、今でもこれに近い話はあると思います。

Googleに統一しようとした事例

とある組織で、その組織は役所への提出書類が多く、ほとんどがエクセルやワードで提出する必要があります。

そこへ天下りでトップがやってきて、「これからはクラウドの時代だ!」と、業務をすべてGoogleに統一しようとされた事例もありました。

職員さんは、内部ではGoogleで書類を作って、役所向けにエクセルやワードを作り直して・・・ということをやっていて、職員さんがかわいそうでした。

また、職員さんの給料の元も税金が使われているので、その組織だけの問題ではないところもあり、なんだかな・・・と感じたことも記憶に残っています。

その組織でクラウドであれば、マイクロソフトの365を使えば良いので、基本的な知識が不足していることで起こる問題も結構あると感じた事例です。

ITに関する知識不足の原因

中小企業で、ITに関する基本的な知識が不足している原因を、いくつか考えてみます。

教えられる人がいない

会社に入ったら、仕事のやり方を先輩等に教わるものですが、そもそも会社にITに関することを教えてくれる人がいないことも多いです。

社員教育にさけるリソースがない

社員教育には、費用と時間がかかりますが、限られた人数で仕事をしているため時間も不足しているし、利益率が低くて費用もかけられない、ということもあります。

費用対効果を把握するのも難しいため、社員教育への投資に踏み切れない面もあります。

また、中小企業の離職率は大企業よりも高いため、社員教育へのモチベーションが続かないという面もあります。

現状である程度満足してしまっている

経営者がITのことを分かっていない・・・という面もあるのですが、ITのことを分かっていようといまいと、売上を増やしたり利益率を向上させるためには、IT化、デジタル化が必須なのですが、そこまで意識が回っていない経営者が多いです。

新しいことを勉強するのは苦痛、仕事のやり方を変えることに抵抗がある人も多いので、「そこまでしなくても、現状でなんとかなっている、面倒くさいことはちょっと・・・」というところで、ほぼ無意識にデジタル関係の知識を遠ざけていることも良くあります。

中小企業の社員教育の実態

小規模の会社だと、自前で新入社員教育をしているところは少ないので、商工会議所等で行っている新入社員教育を利用されている会社も多いです。

この集合研修の内容は、大体がマナー研修です。

若い人にマナーを教えるのも当然重要なことなので、それはそれで良いのですが、マナーは会社でOJTでできるというか、マナーは社風というところもありますので、そこまでやらなくても良いと私は思っています。

先輩がマナーが良ければ、後輩も自然とマナーが良くなりますし、それで良くならない人はダメな人なので・・・

ということで、自分で作ってみます

自分で研修もやっていたりするのですが、そうそう新入社員向けの研修のお仕事があるわけでもないので、このホームページに何らかのきっかけでたどり着いた若い人向けに、「IT教習所」として、いくつか記事を書いていくことにします。

「教習所」というタイトルにしたのは、自動車教習所みたいに、実際に業務をする前にITに関しても教習所があったら良いな、と思っているためです。

内容はもちろん私なりのものですが、「デジタルスキル標準」や「ITパスポート」等の内容もちょこちょこ入れています。

それらの資格や基準の中から、特に若い人にとって知っておいた方が良いことを抜粋している形です。(というか、まだ書いていないので、そうなると思います)

私自身も中小零細業者なので、いつも時間が取れるわけではなく、目標は1か月1記事ですが、読んでくれた人の人生に、何らかの役に立つものを作ろうと思っています。

ここまで読んでいただいた方は、次も読んでいただけると思いますので、期待していてくださいね。