こんにちは、広島県東広島市のITコーディネータ、吉井良平です。
今回もシステム作成事例の紹介で、「小さな会社の在庫管理システム」の作成事例です。
在庫管理に関して悩んでいる中小企業はとても多いです。
「在庫がどれぐらいあるか分からない」「在庫切れが発生する」「在庫が古くなりすぎて、廃棄することがある」「棚卸ができていない」等々、ほとんどの会社が何らかの悩みを抱えています。
在庫というのは「仕入れてお金を払っているが、現金化していない商品」ということなので、在庫をきちんと管理できれば、資金効率が良くなって、手元の現金が増えます。
倉庫スペースの有効活用ができるようになり、業務効率も良くなります。
在庫管理業務を改善することで大きな効果が見込めますので、ぜひとも取り組んでくださいね。
私は会社員時代に6年間在庫管理に関わる仕事をしていましたので、在庫管理については得意分野です。在庫管理の精度を上げるために、在庫データ・販売データ・発注残データを突き合わせる、というようなことを試行錯誤しながらやっていたのが、ITの道に入ったきっかけなのです。
ちょっと前置きが長くなってしまいましたが、実際に作ったシステムの紹介をしていきます^^
依頼の概要
ご依頼をいただいたのはホームページ作成業者さんで、「自分がホームページを作った会社が、在庫管理に困っているので、在庫管理の仕組みを作ってくれないか」というご依頼でした。
詳しく聞くと、
- 商品の在庫が合わない
- 在庫があると思っていたら実際は無くて、納期遅れ、緊急発注等の仕事が発生している
- 在庫管理業務に時間がとてもかかっている(のに、在庫が合わない)
とのこと。
先方の希望の予算額が厳しくてどうしようかな・・・と思うところもありましたが、フィギュアショップということで、どんなお仕事をしているのかちょっと興味もありましたので^^お仕事をお受けしました。
現状の仕事の流れを確認
まずは、現状どのようにして在庫管理をしているのかを確認しました。
なおフィギュアショップということで、アニメのキャラクターか何かかと思ったら、車のフィギュアでした。
販売も、個人売りもしますが、卸売りが中心です。ショップというよりはメーカー兼卸、という表現の方が良いかもしれません。
入荷時
・商品が入ったら、下記のフォーマットに数量を入力する
ボディはフィギュア本体のことです。商品につけるタグ、商品にお客さんの方で貼ってもらうシール、その3つが揃ってはじめて在庫になります。
「ボディだけあっても、シールが無いので販売できない」という状況がよく起こるため、今回のご依頼となりました。
出荷時
商品を出荷する時は、下記のフォーマットに販売先、販売日、販売数量を入力されていました。
こういった形でエクセルに入力されている方も多いのですが、縦(行)と横(列)の交点に入力していかないといけないので、かなり入力に時間もかかりますし、神経も使います。
また、入力した値を別の資料に使用するのにも、かなり時間がかかってしまうフォーマットです。
現状の問題点
「正確な在庫を把握するためには、きちんと履歴を取る」ことが大事なので、ちゃんと入力して履歴が残っている点は合格です。
ですが、ちょっと惜しいと言いますか、この方法だと入力に時間がかかりますし、入力間違いも起こりやすい、また入力したデータの再利用がしにくい(集計・分析への応用がしにくい)という問題がありました。
入力に時間がかかる・入力間違いが起こりやすい
現状のやり方のところでも書きましたが、品番を横方向に展開しているので、1画面に収まりきらず、入力する位置を探し出す作業が発生しています。
また、縦横の座標が合っているかどうかを確認しながら入力する必要があり、入力するのに集中力が必要で、気を抜くと違う位置に入力してしまうという、入力ミスも発生しやすくなっています。
データの再利用がしにくい
品番ごとの売上集計をするために、この形式ですとデータを別のシートにコピペしたり、どこかに書き写したりする作業が発生しています。
せっかくとっているデータを上手く活用できていません。
現在の作業手順を変えることなく、入力するフォーマットを変更することで、時間があまりかからず、在庫数の間違いも起こりにくい形にシステム化をしていくことにしました。
システム化の概要
入力をシンプルにする
ミスなく早く、楽に入力するためには、入力するフォーマットがシンプルである必要があります。
入庫入力は、本体・タグ・デカール(シール)毎に、品番と数量のみを入力してもらう形にしました。
なお、入力する場所以外はセルに色をつけておくことで、「どこに入力すれば良いか」が自然に分かるような工夫もしています。
在庫の引当は、本体・タグ・デカール(シール)の数量が一覧で分かるようにして、そのうちで在庫が一番少ないものを「引当可能数」としました。
こちらも、入力する場所以外は色をつけて、入力する場所を間違わないように工夫しています。
集計・分析が簡単にできるようにする
入庫した数量、出庫した数量は、データベースの形に保存されるようにしました。
システム導入結果
このシステムは(我ながら)シンプルで良いものが出来たので、在庫がきちんと合うようになり、在庫数も目に見えるようになって、在庫切れがかなり減っているはずです。
また、商品別・取引先別の販売数量もすぐ分かるようになり、販売戦略も立てやすくなったはずです。
はず・・・というのも微妙な表現ですが、ホームページ作成業者の下請けでやった仕事なので、実際のところどのぐらい減ったのかは正直なところ良く分からないのです。
その後も継続してお仕事をいただいたので、満足していただいたんだな、という判断です。
余談ですが、下請けでも仕事は全然やるのですが、あまり協力的じゃない会社とはやりたくないなぁ、と思った仕事でもありました。
継続的にお仕事を続けている会社もあるので、やっぱり相性というものはありますね。
在庫管理については、一般の人がきちんとした仕組みを作るのは、かなり難しいです。
在庫が合わない、在庫管理に時間がかかり過ぎている、というお悩みがある方は、専門家にご相談くださいね。
商売の基本になる部分なので、必ず大きな効果がありますよ。