今月のコラム
私の社会人としてのスタートは、仕入れの仕事でした。
スポーツ用品メーカーで、倉庫の在庫数量を確認して仕入れ先へ発注し、輸入の手続きをして、倉庫に納品させる、という仕事を6年間ほどやっていました。 (余談ですが、発注書の作成が大変だったので、発注書を自動作成できるようにしよう、とプログラムを勉強し始めたのが、現在の仕事につながっています。)
タイやベトナムの海外子会社、中国、台湾、インド等々に外注先がありましたが、その中でバッグ類を外注していた台湾のT社が、納期遅れが多く、不良率も高い、ということで悩みのタネでした。
「またT社か」とブーブー言いながら営業部へ納期遅延のお知らせを作ったり、「T社との取引をやめて、別の会社を探して欲しい」と、何度も上司に掛け合ったことも、今となっては懐かしい思い出です。
時は流れてあれから25年、今は私自身が零細企業の立場で、システムを開発して納品する、という仕事を行っています。
当然、納期通りに納めたいと思ってはいるのですが、「ちゃんとしたものを納期通りに納める」ということは、実は難しいものだな、と実感しています。
大企業にいた時は、「相手が納期を守って当たり前」でしたが、小さな会社は仕入れ先等が納期を守ってくれないことも多いです。返事すらないこともあります。
また、中小企業の離職率は高く、人の面でも安定していません。
私自身も、昨年はせっかく雇った従業員が産休になったり、アルバイトが突然来なくなったりで、一回遅れを出し始めたら負の連鎖が始まってしまい、納期遅れを多発させてしまいました。
その際にご迷惑をおかけした方には再度お詫びを申し上げますが、昨年の反省を生かして、「ちゃんとしたものを納期通りに納める」ことができるよう、新しく常勤のスタッフを雇用したり、社内業務の整備を行っているところです。
こうやって考えていくうちに、中小企業にとっては「ちゃんとしたものを納期通りに納める」ことが一番大事だという考えにたどり着きました。
経営者の先輩からすると、ようやく気付いたか、と思われるかもしれませんが、ちゃんとしていない会社が多い中、小さな会社は「ちゃんとする」だけで信用が高まっていき、会社の競争力も増していくんだな、と実感しています。
顧客の要求する品質で納期をきちんと守るためには、ITの力で貢献できる場面がたくさんあります。
慌てて手配することがないように在庫数量が適切だったり、お客様からもらった情報が社内で伝達漏れがなかったり、発注書や納品書といった帳票の出力がスムーズだったりと、会社として基本的な部分を一つ一つ丁寧にデジタル化していく、より精度を上げていくことで、品質が向上し、納期を守りやすくなっていきます。
人手不足が深刻化している昨今、また材料価格の高騰や最低賃金の上昇等、人手をかけて品質や納期を担保することは、ますます難しくなっていきます。
弊社としても、DXとかいう流行り言葉に惑わされず、「顧客企業が無理することなく、ちゃんとしたものを納期通りに納めることができる」よう、ITの面でサポートしていきたいと考えています。
引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
今月のトピックス
①広島県テレワーク導入・定着支援専門家派遣事業
広島県が、テレワークの導入を希望する事業者に対して専門家を派遣する事業を行っています。
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/hint/05teleworkhaken.html
コロナも社会活動に影響が無くなってきましたので、テレワークをする必要性も無いというのが実態です。
私が理事を務めている団体(ITコーディネータ広島)が、この派遣事業を請け負っていますが、実態に合わせて、テレワークにこだわることなく、広く「デジタル化に関する相談」を無料で対応できる、という形で運営していっています。
まだまだ相談枠がありますので、デジタルに関する相談がある企業は、ご活用いただけますと幸いです。
②インボイス制度への対応について
インボイス制度の導入がいよいよ後2か月に迫っていますが、制度変更に伴う請求システムの対応で、結構高い金額を言われている例があるようで、何件か相談をいただいています。
請求書に関するシステム対応としては、登録番号を表示させるだけのはずなのに、こんな金額を見積しているのか・・・、と思うこともありますので、ちょっとおかしいと思ったらお気軽に相談していただければと思います。
(私の方で、簡単に対応できた事例もあります)